シナプスのすきま

若手舞台俳優オタクが語りたいだけ語るところ

今年の春に推し変した話

実はちょっと前から推し、変わってました。というか、個人を推すのをやめた。
理由は一つずつ書いていくけど、結局は個人の俳優さんに強い思い入れを持つのに疲れたんだと思う。

※私の以前までの推しを知らない方、または知ってるけどネガティブな意見を見ても構わない方向け。

自撮りの加工が気になりだした

私が(元)推しを知ったのは2014年の1月半ば。
当時の彼は、もちろん今ほど有名ではなく「まだまだ上を目指してやる!俺は顔が良いんだ!」という感じで(※個人の感想です)、キリッッ!!イケメン!!!という表情の自撮りを度々載せていた。共演している先輩俳優さんに剣舞や女装を褒められると目に見えて嬉しそうにしていた。そのキラキラした向上心が可愛らしく、自分の魅力に対する自信が美しかった。そう、若い彼は、私が好きになった当時の彼は、とても綺麗だった。自撮りにビューティーをプラスする必要なんて全くなかった(笑)

実際に推し始めたのは2015年の末頃。最初は何もかもが楽しかった。まさか推し変する日が来るなんて、これっぽっちも思いはしなかった。
時を経て、彼は役者としても実力をつけ、某人気ゲームが原作の舞台に出演したことをきっかけにファンがどっと増えた。
そのあたりからだ。彼の自撮りがやたら可愛くなったのは。
ほっぺたを片方だけぷくっと膨らませる顔は、前々からやっていたがいつの間にかほぼ毎回のようにやるようになった。私は彼のキリッ!!イケメン!!!という表情の自撮りが大好きだったので、毎回こんなかわいこぶった同じような顔を見せられても…とちょっとがっかりし始めた。彼はもうアラサーなので、いつまでこの「かわいいキャラ」で行くんだろって考えるとちょっと呆れたのもある。
あと、写真加工アプリを使うからメイク済みの写真だといつも唇がピンクになってる。

こんな風になっちゃうなんて、どうしたんだろうと考えた。彼自身が、自分の顔に自信がなくなってしまったように思えてきた。推しのほうから劣化を自己申告してきてるようなものだ。もしそうなら彼はもう、私が好きになったあの彼じゃない、ってことになる。
ちょっと無理だな、って思い始めた。

もちろん理由はこれだけじゃない。

事務所を推せない

彼を応援していたときに仲が良かった同担さんたちは、彼の為に事務所のイベントに行ったりしてたけど、私は一度も行ったことがない。BDとかニコ生とかで見たことはあるけど。先輩俳優さんたちのあの常時ふざけたようなノリが、私には合わない。
毎月個人のニコ生の放送があるけど、たまに先輩俳優さんと元推しと一緒にお酒を飲みながら放送することがある。そこが地雷原だ。一度、酔った先輩俳優さんが酔った元推しに「彼女いるの?」と軽く聞いたことがあった。「えっ」としばしの間を空けて、慌てて「いませんよ!」と否定したけど、その反応はいるでしょ…いや別にいてもいいけど、知りたくなかった…。あと「今度引っ越すんでしょ?」と聞かれたときもかなり動揺してて、「彼女と同棲?」ってコメントが流れた…そういうの上手くかわせる人ならいいけどさ、彼の場合はそういう質問、本当に不穏だからやめて…。

事務所の方針も気に入らない。ニコ生のチャンネル会費も他の事務所のFC会費と比べて高いし、事務所主催の役者個人イベントのチケット代も「毎回同じような内容なのにこんなにするの?」って感じ。
チェキ券も1枚2,000円もする。1,000円で撮れる事務所も多いし、他のとこなら2,000円出せばそれなりに特典ブロマイド付いてたりするのに。それでも今ほど人気が出る前の彼なら、ポーズの制限もなくて立ち上がって後ろからハグしてもらったりできたのに、今は座ったままとか制限あるしお話する時間も短い。なのにお値段据え置きっておかしくないか?
あと、色々ゆるすぎる。以前ちょっと腹に据えかねて記事にも書いたけど、私の好きな作品の一番好きなキャラを演じていた俳優さんが彼女の匂わせのせいでカノバレして降板に追い込まれた事件で、やらかしたのに一人だけお咎めなしでのうのうとその後も女優活動を続けていた彼女が所属してたのもこの事務所だ。一言の謝罪も釈明もないまま女優辞めたみたいだけど。

2.5次元舞台の予習に疲れた

彼の出演作の大半が2.5次元。私も元々は二次元オタクだ、俳優ファンといえど原作へのリスペクトを忘れてはならないというのはよく解る。原作のアニメを見て、漫画を読み、ゲームのプレイ動画を探し、時には中古のゲームや過去の公演のDVDを買って、必ず入念に“予習”をしてから観劇に臨むようにしていた。
漫画やアニメは好きだし、当たり前のことだと思っていたので、最初のうちは全然苦じゃなかった。
でもその“予習”がだんだん億劫になってきた。何がきっかけとかはない。ただあまりに2.5次元舞台ばかりが続くので、疲れてしまったんだと思う。
いつか2.5次元舞台以外の舞台を中心に活動するようになるだろう、とも考えた。でも、彼があの事務所にいる限りその可能性も薄い。若いうちはともかく10年後はどうなるんだろう。どうするんだろう。
出演作が一つ発表になるたびに、「また2.5次元か」とため息をつくようになった。

常に金欠

「特定の誰か」に対して強い思い入れを持つのをやめようと思った理由がこれ。
私は社会人だけど薄給な上に毎月決まった額を貯金しているので、自由に使えるお金が月に約5万円しかない。全然金持ちじゃない。なのに「彼を推しと呼ぶのならこれくらい当然」などと思って、一つの作品をプレミアム席で3回観劇したり、2ヵ月に一度大阪から東京まで遠征したり、トレブロを何十枚も買ってコンプしたり、見もしないBDを買ったり、個人イベのぼったくり物販で「今日出たやつ全部下さい」とか言ったりしてた。加えて2次元オタクも卒業できてないので、好きなアニメのグッズもそこそこ集めてたし、毎週TSUTAYAで漫画を借りてた。よって常に金欠だった。服も靴も化粧品も安価なショップのものを最小限、通っていたジムもマッサージも辞めて、日用品も一番安いやつにして、オタクじゃない友人知人からの遊びの誘いは断るようにもしてたけど、それでも通帳の残高は常にマイナスで、クレジットカードは収入のアテもないのに分割払いを繰り返し、最優先してたはずの貯金も切り崩してた。本当にバカだったと思う。
ただ、後悔はしていない推しを応援している実感が得られて楽しかったし、推しの現場にいる間はお金のことなんて忘れていられた。
それに周りの同担さんには、月2ペースで遠征している人や大阪公演を全通する人や高額な転売チケットを複数買い揃える人や推しのトレブロを無限回収する人やハイブランドの服をプレゼントする人やあちこちの現場に飛んで行ってもなおデパコスを普段使いする余裕のある人もいたので、この程度ならまだまだ全然遣ってないほうだと思ってた。
実際そうだろう。でも、そういうお金の遣い方をしていいのは、遣えるお金のある人だけだ。…今にして思えば、至極当たり前のことだと思う。
そんな生活を1年続けたら、親にバレて叱られた。20代半ばにして親に叱られた。本当にバカだった(笑)
これをきっかけに、推しの現場にいるときも常にお金のことが脳裏をチラつくようになり、満足に楽しめなくなった。それとともに、推しへの熱意が徐々に萎えていくのを感じ始めた。
私は性格上、特定の誰かを「推し」と呼んで意識する⇒このくらいやって当然!と短絡的に考えて分不相応なお金の遣い方をしてしまう傾向があることに気づいた。「特定の誰かを推す」のは私に向いてなかった

個人としての魅力<集団としての魅力

色々愚痴っぽく書いたけど、あとはまあ単純にこいつ飽きたんだなって思ってほしい(笑)

で、推しを応援できなくなってきた私が次に惹かれたのは、とある「若手俳優のグループ」だった。
推しの共演者の一人が所属しているグループで、私の住んでいる大阪を拠点に活動しているので、遠征の必要がない。大手の事務所に所属しているので、ファンクラブ会費が安いしテレビやラジオにもよく出る。本公演はチケット代が安くてブロマイドは3枚500円で買える。地域のショッピングモールの無料のイベントに出演してくれる。とにかく、普通に応援する分にはお金がかからないグループだった。(後から気づいたけど、本気で応援しようと思ったらなんやかんやお金かかった笑)

それに、「特定の誰かを推しと意識する」と分不相応な金遣いをしてしまう私としては、「グループを丸ごと応援している」というスタンスはとても気が楽だった。メンバーのうちだれか一人だけが出演する作品が東京公演しかありません、って言われたら、「一人だけなら遠征するほどでもないか。べつにこの子だけを推してるわけじゃないし、全員追うのは無理だし(笑)」という風に自分に対して言い訳ができる。自分で自分にプレッシャーをかけることがなくなった。

何より、彼らは仲が良い。そんなめちゃくちゃいつも一緒なわけじゃないけど、それでもよく一緒にご飯を食べに行ったり、メンバー複数人が誰かの家に集まってだらだらしたり、お泊まりしたり、朝ごはん作ってあげたり、夜遅くまで電話で悩みを相談したり、先輩が後輩にアドバイスしたり、後輩が先輩を慕ったり、同期がお互いに励まし合ったり、そういう関係が続くわけだ。共演している間だけとか、たまたま気が合った誰かと2人で仲良くするとかじゃなくて、集団としての濃い関係が続く。
イケメンが仲良くしてるってもうそれだけで尊いのに、それが(同じグループに居る限り)ずっと続くとか、そんなの好きにならないわけない。
私の中で「集団としての魅力」が、「個人としての魅力」に勝ってしまったというわけだ。

その「グループ」に出会ったのが2016年の年末。
2017年春の元推しの主演舞台を最後に、私は彼のオタクを降りた。

そんなわけで、私は推しをとある「個人」から「グループ」に変えた。
前も楽しかったし、今も楽しい。
これから先ももしかしたら推し変する日が来るかもしれないけど、でもそのときもきっと、今の推しを応援している時間を後悔することはないと思う。