シナプスのすきま

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劇団Patch「羽生蓮太郎」感想~可愛いだけじゃない~

数ヶ月ぶりのブログで突然だが、劇団Patchにハマった。きっかけは刀ステの納谷くん。でもここまで沼ったのは、磯ミュの竹下くん有馬くんとパチ合戦の近藤くんとホストちゃんの松井くん藤戸くんと障害物レースの山田くんが可愛かったせいだ。
先週の金曜日と土曜日に観劇した劇団Patch本公演Patch Stage vol.10「羽生蓮太郎」の感想を書こうと思う。何分にわかなので元々Patchを知っている方からしたら変なことを言っているかもしれないが、ご容赦を……。


私にとっては2度目の本公演。
初めて見た本公演は磯ミュ再演で、納谷くんの手売りに釣られてチケットを買って行ったのだが、あのときはかなりの衝撃を受けた。まず開演前から客席にキャストがいる、公演中に写真動画撮影OK、終演後は物販にキャストが立つときた。
でもその時に抱いた1番大きな感想は「“可愛い”があふれてる!!!!」だった。納谷くんが可愛いのは元々知っていたが竹下くんがド真面目で可愛い。有馬くんがバチバチかましてくるウインクが可愛い。なんかもう全部可愛い。しんどい。なにこの子達!?(※ほぼ全員私より年下)

それからPatchの現場に行くたびに可愛い可愛い言っていたが、今度の本公演の舞台は昭和。メインビジュアルの髪型は七三分け。可愛い子達が演じるのは半分くらいオッサン。原案はシェイクスピアハムレット(なんかめっちゃ人死にそう)。
……これ、あんまり可愛くないんじゃないか?

とりあえず3公演分のチケットは確保したものの、見慣れた2.5次元のような派手さもないし、正直そこまで期待せずに行った。

観た。

めちゃくちゃ良かった。

感想

客席内に入ってまず斬新な座席配置にびっくり。
中央に円形の舞台があり、その左右に座席がある。挟み舞台というらしい。こんなの初めて見た(笑)どこからキャストが出てくるのかわからない。それに舞台が客席と近すぎる!
もう一つ驚いたのが、舞台の上に何も載っていなかったこと。月面をイメージしたという斑模様の真っ平な円があるだけ。段差も幕も壁もない。
これが一体どうなるんだろう。そうと思った何もない舞台上は、メンバー自らの手で様々な場面に作り変えられた。暗転した間に何人もメンバーが出てきて、椅子やテーブル(のパーツ)や引き戸の枠を無駄なく、時には舞台上をぐるりと一周したりして、置いたら出番のあるメンバーだけ残して去っていく。スタイリッシュ小道具運びである。メンバー10人+日替わりメンバー1人、少数の役者で作られる世界。
皆それぞれ、名前のある本役以外でも出演していた。主役の蓮太郎の母が切り盛りする店「ホルモンひでちゃん」に屯するオッサン達とか、黒男が蓮太郎から逃れるため紛れ込んだ商店街の人混みとか、墓石とか(笑)。モブではあるがセリフもあるし、役によっては衣装も本役と同じなのに、全くの別人に見えるからすごい。
原案は人が死にまくる悲劇の「ハムレット」だけれど、「羽生蓮太郎」は随所にコメディっぽい場面が入れられていた。先述のスタイリッシュ小道具運びもそうだし、ホルモン屋での会話もネタに溢れていて、「ハムレット」ならどシリアスなはずのシーン(死んだ父親が化けて出る所など)でも全開で笑わせてくれた。

笑えると言えば、特に日替わりシーン。日替わりでヤクザの蛍原康役として、竹下くん、納谷くん、中山くん、近藤くんが出演し、三好くん演じる歩野黒男とのやり取りの中で一発ギャグを見せてくれた(笑)
皆それぞれ二公演ずつ出演したのかな。同じ日の出演でも公演ごとにキャラを180°変えて演じていて、客席じゅうが手を叩いてゲラゲラ笑った。時にはスベって、温かい苦笑いに包まれた。ヤクザの子分、小指のテツと普通のヤツも蛍原のキャラに合わせて良いボケまたはツッコミをしていた(笑)

そんな中でもちゃんと泣きどころとか、ジーンとするところもあった。
ハムレット」ではオフィーリア、つまりヒロインにあたる歩野親春が、蓮太郎のために月の石を取りに行こうとして橋の欄干に上り、落ちて死んでしまうシーン。
舞台の上では、親春が月を見上げながら何か(ベンチやホルモン屋のカウンターに使っていた台のセット)に上り、階段のように更に高い台に上り、いつの間にか現れた三好くん(黒子的な感じ)の肩に担がれてぐるりと一回転、そして一言「お月さん、届いた」というだけだった。暗転してからも流れ続けるBGMは綺麗で幻想的な音楽。でもその「届いた」という言葉がイコール死を意味するのは、その幻でも見ているかのような演出だけでも伝わって泣けた。

まあ涙腺の脆い私は、蓮太郎が親友の布袋昌吾に「おれが頭イカれたふりしても見て見ぬふりしてくれ」って頼むところでもう勝手に今後の展開を想像して涙ぐんでいたけれども(笑)

シェイクスピアの「ハムレット」と比べて

蓮太郎と各人物との関わり方がかなり違うのが面白かった。

昌吾にはハムレットがホレイショーにしたように全てを打ち明けることはせず、当然何も聞かされない昌吾は蓮太郎の仇討ちには協力しなかった。でも最初から最後まで蓮太郎と同じ側に立っていた。

頑子とは大阪の母子らしい関係だと思った。オバハン、妖怪、果てはアバズレなど好き勝手言うけれど本気で嫌っているわけではなくて、愛がある感じ。
父の秀太郎と話す時も同じように口が悪いが、仇を討てという言葉を聞いて行動しようとするあたり何だかんだ大事な父親なんだなぁ。

親春にはオフィーリアのように酷く罵って拒絶することはせず、2人きりで過ごす穏やかな場面もあった。性別は違うが、親春は間違いなくヒロインだった。蓮太郎と親春との関係は恋人でも友人でも兄弟でもなく彼らだけのもので、既存の名前を付けることなどできない、ただ「そういう関係」なのだ。末満さんが演出された舞台「K-Lost Small World-」での美咲と猿比古を思い出した。

尾瀬倉と桐志田、ハムレットでのローゼンクランツとギルデンスターンはクローディアス側の人間という感じなので、蓮太郎に協力的で皆で一緒に飲んだりしていたのが意外だった。殺した男の妻を奪うお芝居、あれを演じる役割がこの2人に宛てがわれたのもあってのことかな。黒男が「やめろ」と言うのよりも蓮太郎の「やめんでええ」と言うのを優先して演じきったのも印象的。

各キャスト

主役・羽生蓮太郎役の松井くん。
初めて見たのがホストちゃんだったというのもあって、私の中で松井くんといえばあのキラキラした可愛い目を思い浮かべるのだが、蓮太郎を演じる彼の目は暗くて強かった。最初から終盤までほぼ無表情かしかめっ面で演じきり、黒男との追いかけっこの場面では客席も黒男も笑っている中ただ一人にこりともせず、父の仇を討つことだけを見詰めていた。冷たいとか尖いとか言うよりも、ただ強い“圧”を感じる目。間近で見られて良かった。
そんな蓮太郎が、親春に少年マガジンを手渡すとき、ほんの一瞬だけ優しく微笑んだ時があった。私が見た中では一公演だけだった気がするが、その微笑みにかなり胸が苦しくなったので(笑)他の公演でもやってほしかったなー。
私はまだまだPatchのことをちゃんと分かっているわけではないので多くは書けないけれど、今回松井くんが真ん中で座長としてしっかり立っていて、大黒柱みたいな存在だったように思う。

蓮太郎の叔父・黒男役の三好くん。
すぐ手が出るくせにヤクザには土下座という小者な感じの悪役だが、セリフの言い方も表情も上手い具合に小者感があった(笑)くどすぎないけれどとても印象に残る演技だった。
あと、黒男といえばやっぱりあの歌、「ドリフのズンドコ節」!正直に言うと三好くんの歌を初めてちゃんと聞いたので、めちゃくちゃ上手くて驚いた。しかもちゃんと黒男っぽい歌い方。今も耳に残っている。あー、私も声出したかったなぁ。ソレ!って合いの手入れたかった。

蓮太郎の母・頑子役の岩崎くん。
岩崎くんのことはまだあまりよく知らなくて、あの「ぽいっまーきのゲーム」で人を指差しせず手で指すあたりにお育ちの良さを感じたので割と気にはなっていた。今回女性役ということで、女装した男~って感じのお笑い路線で行くのかな?と思っていたらどっこい素晴らしく女性だった。所作が完璧。こういうオカンおるおるっていう。
客席通路から歌いながら出てくるときの、しゃなりしゃなりという歩き方が美しかった。美脚。あと姿勢がとても良くて綺麗。やっぱり絶対お育ち良いよね?

歩野宮春役の吉本くん。
役の年齢と実年齢の差を演技力でばっちり埋められていて、オッサンそのものだった(笑)
宮春は難しい役どころだったと思う。実年齢とかけ離れているし、ダメな親父だけれど自分を刺した蓮太郎のことを赦して就職まで世話してやるほど情に厚い……という奥の深さ。その複雑な感情は、見事に伝わってきた。

歩野定春役の星璃くん。
私の一番好きなキャラだ。シュッとした出来る男って感じで、こんなお兄ちゃんほしかったなぁ。
友人だった蓮太郎のことを疫病神だと言いつつも、実際父から親春の死を聞かされたときはきっと仕事にかまけて親春を構ってやれなかったことを真っ先に悔やんだことだろう。「やっぱりあいつは疫病神や」というセリフの言い方には、恨みよりも口惜しさが濃く滲んでいた。
あと星璃くんといえば「名も無き墓石」と「普通のヤツ」!墓石はもう名乗るだけで笑えた。アドリブも毎回面白かった。普通のヤツのツッコミ、キレの良さがさすがだった(笑)頭の回転速いんだろうなぁ。

ヒロイン・歩野親春役の田中くん。
とにかくひたすら可愛かった!蓮太郎の腕に絡むのとか、兄やんが万博連れてったるて言うてんのに羽生くんのことばっかり気にしてるのとか、いや「羽生くん」っていう呼び方がもう可愛い。思い返せば親春は終始羽生くん羽生くん言っていた気がする。間違いなくヒロインだった。
そもそも田中くんがメンバー全員からこぞって「とーるは可愛いなぁ😊」って言われるほど可愛いので、親春が可愛いのは当たり前(笑)
でも蓮太郎との独特な関係性や、周りの大人たちについて行けない切なさも見事に演じていて、田中くんってもしかして「ただ可愛いだけじゃない」のかもなぁ、と思った。
あと「小指のテツ」最高、天才だわ(笑)

蓮太郎の親友・布袋昌吾役の藤戸くん。
ホストちゃん大好きな私としてはもう松井くんと藤戸くんが親友同士の役というだけでかなりグッとくるものがあるのだが、やっぱりとてもしっくりくる配役だった。親友というより舎弟という感じの扱いなのも良かった。
蓮太郎に対して「お前がハムレットなら、おれかてホレイショーや」というセリフがあったけれど、あれはどういう意味なんだろう。蓮太郎にもっと自分を頼って欲しいって思ったのか、最後まで側にいてやるって思ったのか、両方なのか……。

尾瀬倉役の有馬くん。
有馬くんには可愛い可愛いウインクをつい期待してしまうのだが、今回もオープニングのキャスト紹介で毎公演欠かさずやってくれたのでありがたかった(笑)有馬くん絶対ウインクキラー強いよね。
劇場が狭いこともあってマイク無しだったので、有馬くんの特徴的でよく通る声が映えた。
劇中でハムレットを演じるシーン、黒男に凄まれて躊躇いながらも演じているうちに熱が込もってゆく感じにグッときた。

桐志田役の尾形くん。
元々はあまりよく知らなかった尾形くんを、今回「羽生蓮太郎」での姿を見て好きになった。こんなにキラキラした目で演じるんだと感動したし、なんとなく無難な感じの子だなぁと思っていた印象が覆された。
有馬くんと同じく劇中劇のハムレットの場面で、難解なセリフを朗々と語るのが印象的。

蓮太郎の父・秀太郎役の山田くん。
とっても可愛いお顔をしていてファンの需要を察しメンバーとの可愛いツーショットをマメに載せてくれる可愛い山田くんが、まさかのオヤジ役。と言っても秀太郎は故人なので本役で出るのはワンシーンだけ(笑)
他のシーンでは墓石だったりモブのオッサンだったりしていた。オッサンとしてホルモン屋でタバコを吸う仕草がすごく上手い。
本役も本役で上手かった。本人のブログを見るととても苦労したそうだが、山田くんだとは思えないくらいにオヤジだった。なんか芸人の誰かを思い出すなぁと思ったけれどあれだ、内村○良さんだ(笑)
お茶目で面白おかしいオヤジなのに、目が全く笑っていなくて、そういうところ蓮太郎に似ているし、やっぱり真剣に仇を討って欲しがってたんだよなぁ。



例によって半端なく長くなってしまった。1人ずつ振り返るからこうなるんだよね。でも書かずにはいられない(笑)

思えばこの「羽生蓮太郎」で、これまでひたすら可愛い可愛いと思っていたPatchの「可愛いだけじゃない」劇団としての本当の姿をちゃんと知れたように思う。
今日で結成5周年になる劇団Patch。明日どうなるかわからんけど、あんじょう気張っていかなあかんな、という決意表明めいた「羽生蓮太郎」。
私も、好きになったばかりのPatchがいきなり新体制になるというのは正直不安しかないけれど、メンバーが頑張ると言っている以上、どうなっても応援していきたい。